出戻り社員になるときにチェックしておくべきこと4つ

一度は退職したものの、さまざまな理由で「出戻り社員」となるケースが最近では増えています。人材不足が社会問題化する近年、出戻り社員は企業から歓迎される反面、軽い気持ちで出戻ると、前回の退職時と同じ理由で辞めるなどミスを繰り返すことにもなりかねません。ここでは、出戻り社員として以前の会社に再度勤める前にチェックしておきたいことについて解説します。

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出戻りとは

そもそも出戻りとはどういった社員のことを指すのでしょうか? 出戻り社員の現状について説明しましょう。

出戻りとはなにか

出戻りとは、その名の通り、一度退職した会社に出戻って再度入社することです。

退職の理由はさまざまで、他社への転職はもちろん、結婚や出産、介護といったライフイベントの場合も少なくありません。一般的に自己都合で退職後、再入社することを指すことがほとんどです。ただし、定年退職後の再雇用は、出戻りとは意味合いが異なります。

退社後も同僚や上司との関係が続いていることで出戻りの打診を受け、再入社となることが多いようです。

出戻りする社員は増えている

近年、出戻り社員は増える傾向にあります。エン・ジャパン株式会社が2018年におこなった「企業の出戻り(再雇用)に関するアンケート」では、じつに72%の企業が再雇用したことがあると回答しました。これは、2016年の調査に比べ、5ポイントもアップしています。

また、「条件が合えば再雇用したい」と答えた企業は69%にのぼり、今後も出戻り社員への門戸は開かれていくと考えられます。

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出戻りのメリット

出戻りでの雇用は、会社側と出戻りする社員側のそれぞれにどのようなメリットがあるのでしょうか?

会社側のメリット

まず、会社側のメリットについて挙げてみましょう。

即戦力になる

出戻りでの雇用は、社員が転職やライフイベントを経てスキルアップしている可能性も高く、会社側の期待に応える人材を確保しやすいことが挙げられます。どうすれば会社の期待に応えることができるかなども知っており、大きな戦力となってくれるでしょう。

人間性がわかっている

仕事内容に対する適性や人となりについて、改めて調べる必要がありません。スキルや仕事ぶりなどもわかっていることから、会社側も社員側も転職後にミスマッチを感じることが少なくなります。

教育に費用と時間がかからない

以前の雇用の際にすでに社内教育や研修をおこなっているので、改めて教育する必要がありません。新入社員への教育や研修にかかるコストの削減となります。

出戻りする社員のメリット

次に、出戻りする社員側にはどのようなメリットを挙げてみましょう。

会社の方針をよく理解している

会社の方針や社風をすでに理解しているため、出戻り後に会社とのズレを感じることが少なくなります。社内の雰囲気にもスムーズになじみやすいでしょう。

他社での経験で待遇がよくなる

他社で経験を積んでいれば、スキルや知識を活かして好待遇で再雇用してもらえることもめずらしくありません。ポジションや給与面でのアップも期待できます。

会社を客観的に見ることができる

他社を経験しているからこそ、会社を客観的に見ることができます。仕事内容に関しても、さらに多角的な目線で捉えることができるはずです。

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出戻りのデメリット

出戻りはメリットが多い一方で、どのようなメリットがあるのでしょうか?

会社側のデメリット

まず、会社側のデメリットを挙げてみましょう。

他の社員が反発することがある

上司として出戻り社員がいきなり好待遇で配置されると、他の社員の反発を招くことも考えられます。社内のモチベーションの低下につながる可能性もあるため、出戻り社員の配置には配慮が必要です。

辞めてもまた採用されると思われる

出戻り社員が入ってくることで、他の社員に「辞めてもまた雇用してもらえる」と思われてしまい、社員が簡単に辞めてしまうことにもつながりかねません。

出戻りする社員のデメリット

次に、出戻りする社員にとってのデメリットを挙げてみましょう。

辞めた理由と同じ理由で辞めたくなる

一度辞めたとはいえ、やはり同じ会社なので、同じ理由でイヤになってしまうことは大いに考えられます。以前に辞めた理由が仕事内容や待遇などの場合、それらが当時とあまり変わらないようなら、また辞めたくなってしまうかもしれません。

社内の変化に対応しなければならない

同じ会社でも、数年在籍していなければ、人間関係や雰囲気など変わった点も少なくはありません。以前と同じつもりで働いていたら事情が異なることもあり、変化にも対応する能力が求められます。

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出戻りは他の社員からどう見られているか

会社に出戻りとしてまた働くことで、他の社員からはどのように思われているのでしょうか?

既存社員は出戻りを受け入れやすい

おおむね、既存の社員は出戻りを受け入れてくれます。わざわざ仕事を教える手間がいらないことや、能力があれば出戻りでも周りは納得してくれることなどが理由のようです。そもそも以前働いていたときのことを知らない社員もいることから、あまり気にしないとの声もあるようです。

退職理由によっては嫌がられる

しかし、以前の退職時にトラブルを起こしていたような場合には、また一緒に働くことを嫌がられることも考えられます。退職する際に人間関係などでトラブルがあった場合、そもそも出戻りが難しいようです。

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出戻りしたときに気をつけるポイント

出戻りとしてまた同じ会社で働くことになった場合、気をつけておきたいポイントについて解説しましょう。

新人のつもりで働く

出戻りで働く場合、昔の同僚や後輩が先輩となることも考えられます。以前の関係もありますが、かつての職場だからと先輩風を吹かせるのではなく、新人として新たな職場のつもりで働きましょう。

必ずしも既存の社員から歓迎を受けているとも限りません。謙虚に、素直に働くことが大切です。

昔のことをひきずらない

かつての職場を知っているとどうしても、「昔は○○だった」という話をしたくなるものです。しかし、昔と比べた話を聞かされても、周囲はあまりよい気持ちはしませんよね。

昔はよかったという話は、つまり今の職場や仕事環境を否定していることになっていないでしょうか?

出戻りとして戻ったものの、新しいやり方や仕事に慣れないと、つい過去にすがりたくなってしまうかもしれません。しかし、出戻ったからには、昔をひきずらず、新しい環境になじむ努力をすることが重要です。

結果を残そうと必死になりすぎない

出戻り社員だから周りの期待に応えなくてはと必死になり、自分で自分にプレッシャーをかけてしまうかもしれません。しかし、まずは自分のできることから頑張っていきましょう。

既存の社員も上司も、いきなり結果を出すことは求めてはいないはずです。

プレッシャーではなく、モチベーションを持って仕事に向き合いましょう。

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出戻り転職も通常の転職と同じく、しっかり考えて決断を

出戻りは、社員だけでなく、会社にとっても人材不足を解消できてかつ人材教育の面でもメリットが多いことが特徴です。転職を考えるとき、以前の会社も選択肢に加えてみると視野も広がり、おすすめです。

しかし、安易な気持ちで出戻りすると、以前と同じ理由でまた退職してしまう可能性もあります。辞めた当時と会社はどのように変わったか、または変わっていないかを見極めることが大切です。本当にもう一度その会社で働きたいのか、出戻りでも通常と同じように、しっかり考えて転職活動をおこないましょう。