目次
転職するための資格は本当に必要なものだけにしよう!
・転職では資格よりも実務経験を重視される
・業種や職種と無関係の資格はほとんど意味をなさない
・難しい資格ほど長期の準備や学習が必要
資格は転職を有利にするくらいで絶対に必要なわけではありません。資格の取得にこだわるあまり転職に失敗したら本末転倒です。まずは転職で何を求められているか把握し、それで不足しているようであれば資格の取得を検討してみましょう。
未経験の人におすすめ!転職の際に役立つおすすめ資格21選
まったく未経験の業種へ転職する際、簡単に取れそうだからと無関係の資格を取得しても意味はありません。面接官に「何がしたい人なんだろう」とか「この仕事では役に立たないかもしれない」と誤った印象を持たれて落とされる可能性がありますよ。
もちろん業種によっては資格なしよりもあったほうが有利な場合もあります。取得しようとする前に、その資格が転職に活かせるか十分に検討したいですね。
そんな未経験の人が転職で活かせそうな資格を、IT関連のようなオールマイティーに役立ちそうなものから特定の業種で求められるものまで21個ピックアップしました。
ぜひご覧ください。
ベースはこれで!幅広い業種で役立つ資格
・ITパスポート試験 難易度 ★★
数あるIT系資格の中では入門編に位置づけられ、実務上で必要なITの知識や関連業務、法律などについて出題されます。既に実務上の経験があったり、コンピューターに詳しければ短期間の独学で済むでしょう。そうでなければ通信講座を受けるなど誰かに教わらなければ難しく感じるかもしれません。
取得までかかる期間の目安は60時間で、1日2時間学習すればちょうど1ヶ月です。独学ならテキストと問題集1冊ずつで5,000円前後、スクールで学習するなら20,000円前後です。試験はパソコン上で行われます。受験料は5,700円です。資格の取得が転職に直結するわけではありませんが、学習経験はあらゆる業種で役に立つでしょう。
・MOS(Microsoft Office Specialist) 難易度 ★★★
ワープロソフトの「Word」や表計算ソフトの「Excel」などマイクロソフトが提供するオフィスソフトの資格で、ソフトごとに5種類あります。バージョン別に試験が行われており、2017年の時点では2016、2013、2010の3つです。WordとExcelには「エキスパート」という上位試験もあります。
普段からWordやExcelなどを使用していれば難しくはありませんが、やはり一から学習するとなれば操作方法から覚えないといけないので時間がかかるでしょう。試験に必要なスキルを1日1つずつ習得すると考えれば、学習期間は最低でも1ヶ月は必要です。
1つの資格につきテキストや問題集は2,000~5,000円くらい。スクールの受講料は50,000円くらいです。試験はパソコン上で行われ、指示に従いながら1問を通して1つの表や文書などを完成させます。受験料は2016の場合10,584円で、エキスパートは12,744円です。
パソコンを使う仕事であれば業種を問わず、取得していると有利な資格です。特に事務職への転職を考えている女性は学習も兼ねて取得を検討したいですね。
・日商簿記検定 難易度 ★★★
経理処理をするための知識を習得するための資格です。難易度に合わせて1~4級まであります。転職で活かすなら最低でも2級は合格しておきたいところです。財務諸表から経営状況の判断ができるようになり、原価計算も可能なレベルです。逆に会計士や税理士などのプロフェッショナルを目指さない限り1級までは必要ないでしょう。
2級の場合、独学であればテキストや問題集が1,000円台から、スクールは70,000円台からです。ただし3級の知識を踏まえた上で出題されるので、初めて検定に挑戦するなら3級の分も一緒に勉強したほうがいいでしょう。未経験からの勉強なら最低でも3ヶ月、できれば半年ほどかけたいところです。2級の受験料は4,630円になります。
取得すると事務職や経理担当だけでなく、他の職種でも「数字に強い」という見方をされ、転職で有利になるでしょう!
・中小企業診断士 難易度 ★★★★★
「中小企業診断士」とは、その名のとおり中小企業に様々な角度からアドバイスをする士業で、登録するには専用の資格を取得しなければいけません。経営理論から法務、財務会計、マーケティングなど幅広い知識を要求され、試験は第一次と第二次に分かれます。第一次は7科目の合格が必要で、第二次は筆記と口頭の試験があります。
学習期間は範囲が広いため12~18ヶ月ほど必要です。独学ならテキスト代と問題集で2~3万円くらいですが、難易度が高いのでスクールを受講するのが現実的でしょう。その場合は30~40万円くらいかかります。受験料は第一次が13,000円、第二次が17,200円です。
基本的に起業するための資格ですが、営業やコンサルティングといった業種で有利になるでしょう。特に実務経験の長い40歳からの転職資格としておすすめです。
・普通自動車免許 難易度 ★★
どの業種においても車を運転する機会があり、地方に行くほど普通自動車免許が必須の企業も多くなります。取得するには原則的に警視庁が指定した教習所を卒業しなければならず、そのための費用として30~40万円かかります。期間は1ヶ月が目安で、教習所によっては合宿をするなどして半月で卒業できる場合もあります。受験料は3,800円です。
オートマティック車(AT)だけの教習や試験もありますが、マニュアル車(MT)も運転できると乗れる車の種類が増えて便利です。
・TOEIC 難易度 ★★★★
資格ではなく英語力を証明するためのテストです。企業の国際化が進む中で転職時に取得したい資格のランキングでは上位に入ります。試験では「聞く+読む」場合と、「話す+書く」場合などがあります。受験料は5,725円でインターネットからの申込に限り、翌年の受験料が5,092円に割引されます。
結果は合否ではなく「スコア」で表され、最高は990点です。業種にもよりますが実務で役立てるには最低でも600は必要です。外資系企業になれば800以上と、より高いスコアが求められるでしょう。
テキストは1,000円以下から3,000円以上までありますが、価格が高いほど高得点を目指すための内容になっています。スクールは10万円台が相場で、レベル別になっており受講するには一定の基準を要求されるところが多いようです。学習期間は2~4ヶ月かかります。
英語力を証明する試験は他にも「TOEFL」があり、こちらはより学術的なコミュニケーション能力を問われます。
・公認会計士 難易度 ★★★★★
会計業務における最高の資格であり、取得すれば行政書士や税理士にもなれます。公認会計士ならではの仕事といえば監査業務です。企業の財務諸表を監査して投資家や取引先に報告したり、業務内容を監査してコンサルティングを行ったりします。
試験は短答式が2種類と論文式が1種類の計3種類あり、1年かけてすべてに合格しなければなりません。受験料は19,500円です。合格後、実務経験と研修を経て公認会計士になれます。学習範囲が広いためスクールを受講するのが一般的で、学習期間は6~18ヶ月、費用は70~80万円ほどかかります。
独立しなくても、大手監査法人や会計事務所、コンサルタント、大企業への転職でも有利な資格です!
・米国公認会計士(CPAまたはU.S.CPA) 難易度 ★★★★★
同じ会計業務の中でもアメリカを経済活動のフィールドにしている企業への転職で求められる資格です。国際会計基準に対応できるという強みがあります。アメリカの資格ですが、日本でも東京と大阪の2ヶ所で受験可能です。
試験はFAR、BEC、REG、AUDと4つの科目があり、すべてに合格しなければいけません。パソコンで出題される問題に解答する形式です。受験料は約550ドルで日本円にすると6万円前後になります。学習期間は1週間で20時間勉強する前提で約1年です。スクールを利用すれば50万円前後かかります。
会計の知識に加えて英語も流暢でなければいけないので難易度は高めです。特に30代の転職で注目されています。
・ファイナンシャルプランナー(FP) 難易度 ★★★
「お金の専門家」として活躍できる資格です。国家資格のファイナンシャルプランニング試験には1~4級まであり、実務上求められるのは2級です。さらに2級を合格していると日本FP協会の資格「AFP」も認定研修だけで取得できるようになります。
2級の受験料は学科と実技合わせて8,700円で、実技は一般用と生命保険業務従事者用の2種類があります。独学するならテキストと問題集で1~2万円くらいです。スクールを受講する場合は10~15万円ほどかかります。学習期間は3~6ヶ月が目安です。そこからAFPを目指すのであれば、さらに2~4万円かかります。
ライフプランニングや不動産、相続、保険など金融の知識を幅広く習得できるため、関連業務への転職には有利ですが、絶対条件ではありません。むしろ転職後に習得しても十分に間に合う資格です。
・社会保険労務士 難易度 ★★★★★
人事や労務管理、社会保障の専門家です。総務や人事、福利厚生の業務に携わるなら保有しておきたい資格です。資格取得後、実務経験がなくても指定講習を受講して労働会や社会保険労務士会に入会すれば独立できます。他の資格に比べると汎用性があり、専門性を高めるにはおすすめの資格といえるでしょう。
試験は用意された選択肢の中から穴埋めする「選択式」と複数の選択肢から1つを選ぶ「択一式」の2種類があります。受験料は9,000円です。なお受験には大学か、指定の専門学校を卒業している必要があります。
労働基準法や雇用保険法、健康保険法など30種類以上の関連法律を覚えなければならず、6~18ヶ月の学習期間が必要です。独学ならテキストと問題集を揃えて6,000円台から、スクールなら30万円前後かかります。
・宅地建物取引主任者 難易度 ★★★
土地や建物など不動産の取引に携わるのであれば必須の資格であり、試験合格後は実務経験がなくても指定講習を受ければ認定されます。不動産業者では従業員5人につき1人配置しなければならず、不動産と関わりの深い保険業界や金融業界への転職でも有利です。
試験内容は宅建業法に基づいており、択一式ではありますが計算能力を求められる問題も数多くあります。受験料は7,000円です。独学であればテキストと問題集を合わせて2,000~3,000円くらい、スクールなら15万円前後です。学習期間は3~9ヶ月が目安になります。
やりたい仕事はある!その業種に特化した資格
・秘書検定 難易度 ★★
秘書として必要な資質や職務上の知識、マナーを習得するための資格です。ビジネスマナーや仕事上のサポート能力も身につくので、役立つ資格ランキングの上位に入っています。1級、準1級、2級、3級の4段階あり、転職でアピールするなら2級以上、秘書を目指すなら準1級以上に合格しておきたいところです。
筆記試験は2級だとマークシートが大半ですが、1級になると記述問題のみになります。さらに準1級以上は筆記試験合格後に面接があります。受験料は2級が3,800円、準1級が4,900円、1級が6,100円です。独学であればテキストと問題集が1,000~3,000円くらい、スクールは筆記だけなら40,000円くらい、面接も含めるなら80,000円ほどかかります。学習期間は1~2ヶ月くらいです。
サービス業界
・サービス接遇検定 難易度 ★
サービス業における対人スキルや言葉遣い、スタッフとしての資質を証明する資格です。販売業や営業職、窓口業務など接客の機会が多い業種・職種で役に立つでしょう。ただし転職のために取得するよりも実務の一環として必要になる資格です。
1級、準1級、2級、3級の4段階あり、2級までは筆記試験のみですが、準1級と1級は面接試験があります。受験料は1級が5,600円、準1級が3,900円、2級が3,600円、3級が2,400円です。
テキストと問題集を合わせて3,000円くらい、1級はさらに2,000円ほどの面接対策マニュアルが必要になります。スクールで学習するなら筆記が30,000円、面接は20,000円が相場です。学習期間は1~2ヶ月かかります。
・販売士 難易度 ★★
流通や小売業界では唯一の公的資格であり、級が上がるほどに接客や売場づくりだけでなく経営やマーケティングの知識も身につきます。小売業務に携わるのであれば必須の資格といえるでしょう。資格なしで転職する場合でも気軽に取得できます。
1級から3級まであり、転職で店長候補になるなら1級を目指したいところです。受験料は1級が7,710円、2級が5,660円、3級が4,120円です。学習は5冊のハンドブックを使用した独学が中心で、指定の講習会を受ける方法もあります。ハンドブックは7,000円前後です。学習期間は1~2ヶ月が目安となります。
・旅程管理主任者 ★
旅行会社でツアーや修学旅行を管理するための資格で、ガイドに加えてホテルや交通機関の予約、食事や宿泊状況を確認するためにも必要です。いわば添乗員としての資格であり、国内旅程管理と総合旅程管理の2種類があります。旅行会社間の転職であれば有利になりますが、異業種からであれば転職後に実務を経験しながら取得したほうが無駄にならないでしょう。
資格の取得には試験ではなく旅程管理研修を受ける必要があり、まったくの未経験であれば本研修の前に基礎添乗業務研修が必要です。費用は国内旅程管理が35,800円、総合旅程管理が45,800円です(語学教本無しの場合。基礎添乗業務研修費用を含む)。研修は1週間程度で完了します。
金融・不動産業界
・証券外務員資格 難易度 ★★
証券会社や銀行などで顧客に対して金融商品の勧誘や販売を行うために必要な資格です。商品知識や業務内容、関連する法律、税制などについて学習します。
特に女性の人気が高い資格です。一種と二種の2種類があり、まずは二種を取得しておくと転職で有利になるでしょう。ただし実務を行うには転職後に金融庁へ登録しなければいけません。
受験料は共に8,704円で、どちらもコンピューター上で出題され回答します。独学用のテキストと問題集は2,000円前後で販売されており、スクールは二種だけで30,000円くらい、学習期間は1~2ヶ月程度です。
・医療業界
・医療事務 難易度 ★★
病院や薬局など医療機関の事務職で働くための知識を習得できる資格です。多くの医療機関では特に必要としていませんが、取得しておいたほうが即戦力になれるでしょう。損害保険会社や健康保険組合でも役立つ資格で、最近では男性からのニーズも高まっています。
なお医療事務の資格といっても主催団体の違いによって数十種類あります。その中でも厚生労働大臣に認定されている公的資格が「医療事務技能審査試験」と「診療報酬請求事務能力認定試験」の2つです。受験料は両方とも7,500円で、医科と歯科の2種類があります。
テキストと問題集だけで学習するなら2,000~3,000円、スクールは基礎だけで良ければ50,000円、総合的な知識を習得するなら60,000円ほどかかります。学習期間は1~4ヶ月くらいです。気をつけたいのはテキストやスクールごとに対応する医療事務の資格が異なります。取得したい資格と合っているか確認しましょう。
・歯科助手 難易度 ★★
歯科助手の仕事は受付事務だけでなく、診療のサポートまで多岐に渡ります。その知識を習得できるのが歯科助手の資格です。未経験者は取得しておくと心強いでしょう。
医療事務と同様、主催団体の違いによって数種類あり、その中で未経験者でも取得できるのが「歯科医療事務管理士」です。受験料は6,000円になります。この資格に限っていえばスクールに通って学習するのが一般的で費用は5万円くらい、学習期間は5ヶ月です。
メーカー・建築業界
・CAD利用技術者試験 ★★★
「CAD」とはコンピューターを使って設計(製図)するシステムのことで、建築やインテリア、機械、アパレルなどデザインの現場で使用されています。ただ作成するだけでなく数値上の正確さも求められる難易度の高い仕事です。その技術を証明するのが「CAD利用技術者試験」であり、転職においては強みになるでしょう。
試験は2次元と3次元の2種類があり、2次元は基礎・1級(建築・機械・トレース)・2級、3次元は1級・準1級・2級に分かれています。まずはオペレーターとして活躍できる2級を目指しましょう。どちらも筆記試験で、2次元はコンピューター上、3次元はマークシートで回答します。
受験料は2次元の2級が5,940円、3次元の2級で7,560円です。独学であればテキストと問題集で6,000円前後、スクールは50,000円台で学習期間は1~2ヶ月かかります。
・危険物取扱者 難易度 ★★
ガソリンや化学薬品など特定の危険物を扱うために必要な資格です。転職でガソリンスタンドや化学工場での勤務、タンクローリーの運転手などを検討しているのであれば取得によって有利になるでしょう。危険物の知識や関連法令、火災予防、消火方法を学習します。
甲種・乙種・丙種と3つの級があり、乙種はさらに危険物の種類ごとに6科目あります。甲種を受けるには乙種の4科目以上に合格しているなど一定の条件をクリアしていなければいけません。
出題形式はすべて択一式で、受験料は甲種が5,000円、乙種が3,400円、丙種が2,700円になります。 テキストと問題集を合わせると3,000~5,000円で、スクールは4万円くらい、学習期間は2~5ヶ月です。
副業できるなら資格取得と同時にアクションするのもあり!
転職を希望する業種のためランキング上位の役立つ資格を取得したのに、それが役に立たければ学習に費やした手間や時間、費用がすべて無駄になってしまいます!
そこで転職のために資格取得と並行して実務経験を積んでみるのはいかがでしょうか?副業が認められているならアルバイトも可能です。面接でもアピールできますよ!
資格が必須の職業より経験を求める業種の方が多い!
大手の求人情報・転職サイトが調査したところによると、中途採用の条件に資格を要求する企業は約23%に過ぎず、むしろ経験を要求する企業が約85%にもなりました。経験年数も3年以上が有利です。
ただし営業職、医療系や建築系などの専門職は資格を重視する企業が他の業種よりも多くなります。どの業種も自動車を利用する機会があることから「普通自動車免許」は、資格とは関係ない企業でも重視する傾向にあります。それ以外の資格は正社員を目指したり、要職に就いたりするときに取得しても問題はありません。
もちろん実務経験があって同業他社に転職するのであれば、資格もあるほうがより良いでしょう。
経験+資格で面接官の心を射止めよう!業種別おすすめ資格ランキング
では実際に求人情報で必要条件に記載されている資格のTOP3を業種別にまとめてみました。さらに経験があれば面接官の目に留まりやすいかもしれないですね。
・サービス業界
1位:普通自動車免許
2位:栄養士
3位:旅行業務取扱管理者(国内)
2位の栄養士になるには養成課程のある大学か短大、専門学校を卒業しなければいけません。履修科目が多く実習もあることから昼間の学校しかなく、転職のために資格を取得するには仕事を辞めて夜間にアルバイトをするしかありません。学費は専門学校で300万円ほどかかります。
3位の旅行業務取扱管理者は旅行業務の管理や監督をするための、旅行業法に基づいた国家資格です。旅行代理店では営業所ごとに1人配置しなければいけません。
国内と総合の2種類があり海外の旅行を取り扱うのであれば総合が必要です。受験料は国内が5,800円、総合が6,500円かかります。
試験は誰でも受けられ、独学用のテキストと問題集で5,000円くらい、スクールは60,000円くらいです。学習期間は国内で4ヶ月、総合で8ヶ月が目安になります。合格率はどちらも3割前後と難易度は高めです。
・金融
・不動産業界
1位:普通自動車免許
2位:宅地建物取引主任者、アクチュアリー
3位:公認会計士、証券外務員一種
2位の「アクチュアリー」とはリスク分析の資格です。「保険数理人」「年金数理人」とも呼ばれています。その名のとおり保険業界や年金業界で重宝されるでしょう。生保・損保・年金の3種類あり、まずは基礎科目5つすべてに合格して準会員となり、専門科目2つに合格して研修を受けると正会員になれます。
テキストや問題集は1冊3,000円前後のものを10冊以上揃える必要があり、スクールでの学習は30万円以上かかります。資格の取得までには基礎科目の合格と専門科目の合格にそれぞれ1年ずつかかりますが、実際は正会員になるまで8年くらいと極めて難易度の高い資格です。
・医療系
1位:薬剤師
2位:普通自動車免許
3位:臨床検査技師
薬剤師の資格を取得するには薬科大学の6年制を修了していることが条件です。臨床検査技師の資格も臨床検査に関わる大学を卒業していなければいけません。どちらも転職のために取得するのはほぼ不可能です。まずは2位の普通自動車免許を取得しておきましょう。
・建築業界
1位:普通自動車免許第
2位:建築士一級
3位:管工事施工管理技士1級
2位の建築士になるには大学・短大・専門学校の土木科か建築科の卒業(ただし土木科は1年以上の実務経験も必要)、または7年以上の実務経験が必要です。
3位の管工事施工管理技士は施工管理の国家資格で、1級を受験するには最短でも4年6ヶ月の実務経験が必要です。その中には1年以上の指導監督的実務経験年数も含まれます。どちらもまったくの未経験者が転職のため資格を取得するのは不可能でしょう。
・営業
・事務業界
1位:普通自動車免許
2位:MR(医薬情報担当者)、日本損害保険協会 損害保険募集人試験
3位:生命保険販売資格一般、損害保険募集人初級資格
2位のMRは製薬会社の営業担当として医療関係者を相手に自社で扱う薬の情報提供やフィードバックを行います。MR自体は資格が無くてもできますが、業界内で一定の水準を保つための認定資格があります。
ただし受けるには最低でも製薬会社かCSO(MRを派遣する企業)への就職が決まっていなければいけません。同じ製薬会社やCSO間の転職であれば、取得しているほうが有利です。
損害保険募集人や生命保険販売の資格は保険商品を販売するために必要な資格で、どちらも保険会社への内定や採用が決まっていないと試験を受けられません。ただし同業種間の転職では移管できる資格もあるため、必要条件に含めるところもあります。
・IT業界
1位:SAP HANA認定コンサルタント(ABAP)
2位:普通自動車免許
3位:基本情報技術者試験
1位の「SAP HANA 認定コンサルタント」はドイツのSAP社で提供する基幹システムのパッケージ「S/4HANA」や「BW/4HANA」の追加機能を開発する際に役立つ資格です。「ABAP」とはそのためのプログラミング言語です。
SAP認定コンサルタントの資格自体は30種類以上ありますが、そのうちHANA関連の資格は5種類あります。受験料は1種類につき54,000円です。独学でも習得は可能であり問題集は6,000円前後ですが、SAP社による研修は1レッスンにつき10~30万円ほどかかります。むしろ実務に携わりながら企業の補助を得て学習するのが現実的です。
3位の基本情報技術者試験は、IT業界に携わる上で基本的な知識や技能を身につけるための資格です。試験は択一式と選択式であり、アルゴリズムやプログラミング言語なども出題されます。受験料は5,700円です。独学でも取得は可能でテキストと問題集を合わせて2,000円前後、スクールでは10万円前後かかります。学習期間は3~6ヶ月です。
資格取得に動くタイミングは?
もし転職するため新たに資格を取得するのであれば、何年前から準備しなければいけないのでしょうか。勉強中は履歴書にも書けないですし、面接でもアピールできません。試験に落ちる可能性がありますからね。
まずは学習期間ですが、簡単な資格であれば1ヶ月程度で習得できます。逆に会計士や社会保険労務士のように難易度が高いと1年や2年くらい見込まなければいけません。さらに試験は資格によって毎週や毎月、年2回、年1回といった具合に実施時期が異なります。タイミングが悪いと翌年の試験まで1年以上待たなければいけません。
業種によっては30歳や35歳など、一定の年齢以上になると転職が厳しくなります。取得までに時間がかかる場合は、その資格が転職する上で本当に必要なのか検討しましょう。
資格取得のために役立つ勉強のコツ
資格を取得するためには試験日から逆算して、必要とされる期間の勉強計画を立てなければいけません。難易度が高いほど一夜漬けのような短期間では到底合格できないからです。転職後の実務に役立てる上でもしっかり勉強したほうがいいでしょう。
ただし転職を目的とした資格取得は、ほとんどが現在の仕事と並行しながらの勉強となります。帰宅後や休日を割り当てるとしても、忙しかったり、やる気が出なかったりしてモチベーションを維持するのが大変です。
忙しい場合は少しでも勉強する習慣をつけることが大事です。例えば5分や10分など「すきま時間」を有効活用できるような勉強メニューを作成したり、家事をしながら勉強できる体制を作ったりするなどです。やる気が出ないときは勉強しやすいように環境を整えたり、ご褒美を用意したり、周りに資格取得を宣言したりするなど、やらざるを得ない状況に追い込みましょう!
勉強法は主に3つ
資格の勉強法は主に3つあります。「学校へ通う」「通信教育を利用する」「独学で頑張る」です。それぞれのメリットとデメリットを見てみましょう。
・学校へ通う
メリット
・最新の情報で勉強できる
・受験対策や出題傾向が分かる
・疑問点があればすぐに質問できる
・仲間ができる
・通信教育を使う
メリット
・自分のペースで勉強できる
・インターネットを通して講師とやり取りできる通信教育もある
・テキストを読むだけなら場所を選ばない
・独学で頑張る
メリット
・費用は最も安い
・テキストや問題集を選べる
・無期限で勉強できる
・どこでも勉強できる
以上のことから、学習期間が短く簡単な資格であれば独学で十分かもしれません。難易度が高いとお金がかかっても学校や通信教育のほうが楽に合格しやすいでしょう。
忘れちゃダメ!採用される要素は資格だけじゃない!
転職において資格があると有利な職種はありますが、前述のとおり資格よりは実務経験を重視する企業が多く、必ずしも絶対条件ではありません。確かに履歴書の資格欄は空白よりも何かで埋まっていたほうが様になりますが、転職先とは無関係な資格をアピールする書き方では却ってマイナスに働く恐れがあります。
■単に履歴書の資格欄を埋めようと考えてはダメ!
例えば総務や経理で働きたいのにファイナンシャルプランナーや宅地建物取引主任者の資格を履歴書に書いても、あまり意味はありません。むしろ営業部に配属されたり、資格自慢や器用貧乏に思われたりするなど、自分の意図とは違う方向に捉えられる可能性があります。たとえ意味があったとしても、面接で説明できなければ同じです。
総務なら社会保険労務士、経理であれば日商簿記検定が有利になるように、希望する職種に応じた資格を取得して履歴書に書くのが原則です。無関係な資格であればいっそ書かないか、取得した動機くらいは説明できるようにしましょう。少なくとも学習意欲のアピールにはなるはずです。
まとめ
転職においては必ずしも資格が必要ではありません。むしろ実務経験のほうを重視する傾向があります。あくまでも転職を有利にするため、転職後の仕事を進めやすくするために取得するものと考えたほうがいいでしょう。
もちろん、その業種や職種に合った資格を取得するのが大前提です。転職に向けて取得するなら学習期間や費用、試験日を調べてしっかりと計画を立てたいですね。