目次
仕事を辞めるのを伝えるのにベストなタイミングは、次の3つのポイントをクリアしたときです。
・退職日から2カ月前
・繁忙期を避ける
・有給給与後やボーナス支給後
退職の意志はいつ伝えても良い?
新卒で就職したものの、「今の業務内容が自分にあっていない」「営業成績が上がらない」「人間関係がぎくしゃくしている」などの理由で仕事を辞めるという決断する人は少なくありません。
退職の意志を伝えるタイミングを見極めるのは難しいものですが、法律的に問題がなければ、辞めたいと思ったタイミングで伝えるべきです!
とはいえ、円満退職を考えるのであれば会社の状況などを考慮する必要があります。業務の引き継ぎなどにかかる時間や後任を探す時間などを考えると、ある程度ゆとりをもって退職の意志は伝える方が良いでしょう。
仕事を辞める際には、次の転職先が決まっているのが理想です。ですから、転職活動を始めるタイミングとしてベストなのは、仕事を辞めるという意思が固まった時からです。転職先が決まっていると、上司に説得されて退職を考え直したり、退職日を延ばしたりすることを考える余裕がなくなるという点からも、退職前に転職先を決めておくのがおすすめです!
退職を伝えるベストタイミング
・一般的なタイミングは退職の2カ月前
退職日の何ヶ月前に退職を伝えたらいいの?と悩む人は多いです。
退職までの期間が長すぎると気まずいなかを耐えなければならないかもしれない。
期間が短すぎると引き継ぎなどが十分にできずに会社に迷惑をかけてしまうかも。
と心配になるものです。
退社を伝えるタイミングは一般的に1~2カ月前といわれていますが、ベストなのは2カ月前です。退職日までに2カ月あれば引き継ぎをしっかり行なえますし、退職手続きなどが長引いてしまっても問題なく退職できます。
また、退職を伝えるタイミングとして大切なのは、会社の繁忙期に重ならない時期に伝えるということです。会社の繁忙期に「会社を辞めさせてください」と切り出しても、忙しくて取り合ってもらえない可能性があります。
取り合ってもらったとしても「こんな大変な時期に辞めるなんて非常識な奴だ」と心証を悪くする危険性がありますので、繁忙期に退職を伝えるのは避けましょう。
民法の規定(民法627条1項)では、退職届を提出して14日経過すれば退職することは可能です。しかし、14日前に退職を伝えるのでは会社には迷惑がかかることが少なくありません。円満退職を目指すのであれば、遅くとも1カ月前までには伝えるようにしましょう!当然ながら、辞めたいからといって伝えた次の日から会社に来ないのは非常識です。
・きりよく年度末やプロジェクト終了後
仕事がひと段落する年度末やプロジェクト終了後であれば、会社としても引き継ぎのことを考えやすいので、退職を伝えるタイミングとしては理想的です。退職する本人としてもきりがいいので、気持ち的に次の転職先や転職活動に専念しやすいというメリットもありますよ。
・転職活動に十分な期間を設けるなら有給付与後・ボーナス支給後
転職活動に十分な期間を設けるなら、有給付与後やボーナス支給後に仕事を辞めることを考えるとよいです。
有給期間が十分にあればその時期を活用して転職活動が行なえます。有給付与のタイミングは企業によって異なるので就業規則を確認しておきましょう!1年に一回の付与が一般的で、勤続期間によって有給日数が決まってきます。
勤続期間 | 半年 | 1年半 | 2年半 | 3年半 | 4年半 | 5年半 | 6年半以降 |
有給日数 | 10日 | 11日 | 12日 | 14日 | 16日 | 18日 | 20日 |
ボーナス支給前に退職の意志を伝えるとボーナスの額が変動する可能性もありますので、仕事を辞めることはボーナス支給後の時期にしたほうがよいでしょう。ボーナスは有給と同様に転職活動中の資金に充てることができますので、有給やボーナスを最大限付与・支給してもらえる時期を見極めて退職を伝えるのがおすすめです。
退職は誰にどう伝えるべき?
「仕事を辞める」ということを切り出すには、なかなか勇気がいりますよね。適切な相手にマナーを守ってきちんと伝えないとトラブルにつながることがあります。誰に伝えるべきか、どのような伝え方をすると円満に退社できるか、退職を切り出す際のポイントにどんなものがあるのか確認していきましょう!
伝える相手は直属の上司!他の人じゃダメな理由は?
退職の意志は自分の所属する部や課の責任者である直属の上司に伝えるのが大原則です。もしも直属の上司よりも上の上司に退職することを伝えるようなことをしてしまうと、直属の上司の管理能力が疑問視されることになり、その上司の顔を潰してしまうことになります。
また、先輩や同僚に退職する意志が固まったということを上司に伝えるよりも先にしゃべってしまうと、その情報が社長の耳や上司の耳に入ってしまい、人間関係がぎくしゃくしてしまうなどトラブルの元になることもあります。注意しましょう!
直属の上司にまず退職を伝えることは、自身の転職をスムーズにするためにも大切なことです。というのも、自身の仕事を管理している上司が知らないと、結果的に退職するための日程調整や引き継ぎに時間がかかることがあり、思ったタイミングで退職できないということにもなりかねないからです。
・伝える時は口頭がおすすめ
仕事を辞める際に気をつけたいのが上司への伝え方です。法律上はメールや電話で退職の意志を伝えても問題はないとされていますが、そのような伝え方をされても上司としては納得ができないものです。円満退職とはいかないでしょう。
また、メールや電話で退職の意志を伝えて次の日からもう出社しない、という場合はそれでもいいかもしれませんが、基本的には退職の意志を伝えてから1~2カ月は業務の引き継ぎや退職手続きで会社にいくことになります。
そうすれば当然のことながら上司とも会うことになりますので、気まずい思いをすることでしょう。
このようなリスクを回避するためにも、退職は口頭で伝えるのがおすすめです。
退職を切り出すポイント
1.上司のスケジュールを見て決める
上司の予定を見て外出が続いているのであれば、その日に退職を切り出すのはやめておいた方がよいでしょう。気持ちに余裕がある朝の時間帯に「昼間もしくは業務終了後に少し時間を取ってもらえませんか」と声をかけることができます。また、ある程度上司との関係が良好であるならばランチに誘って、そこで切り出すこともできるでしょう。
2.声をかけるときはストレートに
「お話があります」とシンプルかつストレートに声をかけましょう。「相談があります」だと退職しない方向へもっていかれることもありますので、退職の意志が固いということをはっきりと伝えるためにも毅然とした態度で声をかけることが大切。もしも声をかけた時の反応を見て忙しそうなら、いつ時間が空いているのか確認して話しをするための時間を取ってもらうようにしましょう。
3.個室や会議室で
退職を伝える場所は個室や会議室など、他の人に話を聞かれないようなところでするようにしましょう。他の人に話を聞かれてしまうと、辞めるまでの期間の人間関係がこじれてしまうきっかけとなってしまう可能性があります。また上司に用事のある別の社員から声をかけられてしまって、退職を伝えるタイミングを逃してしまう可能性もあります。
退職理由はできるだけプラスな内容に
退職理由の伝え方によっては、上司の反感を買うことになり退職日まで気まずい思いをして過ごさないといけなくなるということもゼロではありません。そこで、円満退社をしたいと思う方におすすめの退職理由の例文をタイプ別にご紹介していきます。
・次の職場でしたいことがある
「この会社で学んだことを活かして、さらにスキルアップしたいと考えています」
「若いうちに違う業界で仕事がしたいという思いが強くなってきたため、退社させていただければと思います」
「新たな事業を立ち上げるために、より多くの時間を使いたいと考えています」
「挑戦したい仕事が見つかったので、そのための資格取得に専念するために退社を決意しました」
・家庭の事情
「もっと家族との時間を持てるようにしたいと思いました」
「親の介護が必要になってしまい、仕事と介護を両立することが難しくなりましたので退社することを決意しました」
「夫の転勤が決まりまして、わたしも夫の転勤先についていくことにしましたので退職させていただきたいと思っています。」
・伝えない方がいいこともある
「次の職場でしたいことがある」と「家庭の事情」が退職理由としてよく使われるものです。とはいえ、このふたつは当然ながら『タテマエ』としての退職理由であることがほとんどです。
本当の理由は「社長や上司の仕事のやり方が気にいらない」「労働時間が長すぎる」「嫌いな人がいる」「給料に不満がある」「仕事がおもしろくなかった」といったものになってくると思います。
しかし、このような本当の理由を退職理由として伝えるのは当然NGです。会社や上司への不平・不満を言っても余計なトラブルを引き起こすだけですし、こうした理由を伝えた時点で円満退職にはなりません。
また、「嫌いな人がいる」「仕事がおもしろくない」という理由を挙げると、部署の移動や配置換えを提案されて引き止められやすくなってしまいます。マイナスの理由ではなく退職理由はプラスな内容のものにすることを心がけましょう。
退職を伝えた後によくあるケースとその対処法
・引き止められる
上司から引き止められるということは、あなたが会社にとって必要だという証になります。引き止められると嬉しくなるものですが、会社を辞めることを決断したのであれば、評価してくれていることに感謝しつつも退社の意志が固いことをはっきりと伝えましょう。
気持ちをほだされて引き下がってしまうと辞めるタイミングを逃すことになります。会社を辞める決断が揺らがないようにするためには、転職先を決めてしまってから退社を伝えるというのもひとつの方法です。
・退職日をずらしてほしいと言われる
後任が決まるまで残ってほしいと言われることがあります。この場合はできる範囲で協力するようにしたほうが気持ちよく辞めることができます。ただし、引き継ぎを理由に退職をどんどん先延ばしにしようという意図が見て取れる場合には、絶対ずらせない期限をこちらから伝えておくことが効果的です。
また、転職活動するために有給も取りやすいよう事前に伝えておくことも忘れないようにしましょう。
・待遇の改善案を提示される
・転職先を聞かれる
転職先が競合である場合もあるので、「これから探します」などと濁すほうが良いでしょう。上司や今の会社との関係があまりよくないのであれば、自身の悪い情報が転職先に伝わる可能性もありますので、慎重に受け答えをするようにしましょう。
退職交渉終了。まだ終わりじゃありません!
直属の上司へ退職の意志を伝えて了承してもらった後にもやるべきことはたくさんあります。上司に伝えた後には、さらに上の上司や関連社員へ伝える必要があります。
退職届は退職交渉が終了した後、または同時に行うように準備しておくことで退職を確実なものにすることができるでしょう。さらに同時に引き継ぎの準備をしておけば、引き継ぎに追われることがなく余裕を持って会社を辞めることができます。
営業に携わっていた場合は特にお世話になった方へ挨拶にいく必要があります。あなたが退職することで顧客が離れてしまうとなると会社に損害が発生し、あなたへの印象も悪くなってしまいます。ですから退職交渉が終了したら早い時期に後任と挨拶周りをするなどして、引き継ぎをしっかり行なうようにしましょう。
また、退職に伴う事務手続きの確認を早めにしておくことで、手続き上の問題で退職時期が延びてしまうというリスクを抑えることができます。
退職に伴って必要となる事務手続きには、雇用保険や健康保険、年金などの手続きに加え、税金の手続きがあります。税金の手続きとしては、源泉徴収票の受領や住民税支払い方法の確認、また退職金が支給された場合は退職所得の受給に関する申告が必要となりますので、会社の総務担当部署に相談しながら手続きを進めるようにしましょう。
退職願を出しましょう
退職届は手書きでもパソコンでも問題ありません。もしも会社のフォーマットがあれば、それを使用するのがベターです。退職届のあて先は社長にし、退職理由は「一身上の都合により退職させていただきます」と書くだけでよいでしょう。
退職の挨拶をしましょう
取引先への退職の挨拶は、メールで伝えるよりも直接出向いて伝えるほうが印象は良くなります。そのときに後任と一緒に挨拶に行けば、取引先に後任の顔を覚えてもらうことができ、引き継ぎもスムーズに行なうことができます。
挨拶に行く際には手土産を忘れずに持参するようにしましょう。会社と取引先の関係を良好に保つうえで役に立つはずですよ。
直接出向いて退職の挨拶を伝えることができないという場合はメールで伝えることになります。メールで伝える場合は以下のような文面にして送ることができるでしょう。
メールで退職を伝える場合の例文
件名:退社のご挨拶(株式会社・営業部の□□)
本文:
株式会社○○
営業部 △△様
いつも大変お世話になっております。
株式会社・営業部の□□です。
私事で大変恐縮ではありますが、一身上の都合により、○月末日にてを退職することとなりました。
△△様には在職中何かとお力添えをいただき心より感謝しております。
ここにあらためてお礼を申し上げます。
本来ならば直接お伺いしてご挨拶すべきところですが、メールでのご連絡となりましたことをお詫び申し上げます。
後任には、同じ部署のが務めさせていただきますので、変わらぬご指導のほどよろしくお願いいたします。
今後についてはまだ決まっておりませんが、新しい職場が決まりましたら改めてご挨拶にお伺いさせていただければと思っております。
末筆ながら、今後の貴社のご発展と△△様のさらなるご活躍を心よりお祈り申し上げます。
署名
引き継ぎ業務をしましょう
後任へ何を伝えるべきかリストアップをしておき、あなたの退社後も後任がスムーズに業務できるように必要な情報を伝えたり、引き継ぎ資料を渡したりするようにします。
顧客リストや契約内容などに加え、取引先の担当者の印象や性格、訪問に適した曜日や時間帯、これまで発生したトラブルとその解決策などの情報もノートなどにまとめて渡すと、後任から感謝されることでしょう。
まとめ
仕事を辞めるのを伝えるタイミング、また伝え方などについてお伝えしました。仕事を辞めるのを伝えるタイミングは、法律上は14日前に伝えれば問題ありませんが、円満退職のためにはできれば2カ月前、遅くとも1カ月前に伝えるのがベストです。
繁忙期を避け、直属の上司に口頭で伝えるようにしましょう!退職までは後任への引き継ぎや取引先の挨拶、退職に伴って必要となる事務手続きをきちんと行なうようにすると、スムーズに退職することができるはずですよ。