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日本人は働きすぎは本当?嘘?
日本人は働きすぎが嘘ではないことを、世界の先進国が高い生産性をもって教えてくれます。日本以外の国々はどのような働き方をしているのか目を向け、見習わなければならないことも少なくありません。
世界と日本の労働時間は?
経済協力開発機構(OECD)では、毎年各国の平均労働時間を集計し発表しています。
(参照経済協力開発機構OECD 調査 http//stats.oecd.org/index.aspx?DataSetCode=ANHRS )
これは、2017年の主要先進国の平均労働時間をピックアップして作表したものです。
日本の平均労働時間は1,710時間となっており、先進国の中でも平均労働時間がかなり長いことが見てとれます。
北欧・西欧周辺では労働時間が短縮されている国々が多く、ドイツとの差は354時間にもなります。
さらに国内総生産(GDP)を見てみると、2015年日本の国民一人当たりの国内総生産は39.5ドルとされています。日本と平均労働時間のあまり変わらないカナダでは48.6ドル、ドイツは59.5ドル、フランスは60.8ドル、と驚くほどその値は高いのです。どれだけ日本が生産性の悪い働き方をしているのかが分かります。
引用:VORKERS 残業時間に関するレポート
https//www.vorkers.com/hatarakigai/vol_4#ranking1
約68,000人を対象にしたVORKERSの調査では、毎日1~2時間の残業をしている人は全体の4割にも及びます。
この働きすぎている時間をゼロにすれば、日本は諸外国に負けない生産性を生むことが可能なのではないでしょうか。
もちろん日本の製品には緻密で他国のマネできない技術があり、こうした労働時間の上にそれが成り立っていることもあるかもしれません。
しかし、働きすぎた頭の中には新しいアイデアを生む場所も少なくなり、どんどん諸外国に追い抜かれていくものも出てくる可能性は十分にあります。
また、厚生労働省では「過労死」と認定する際の基準が設けられています。
労働時間においては月間残業時間数が数ヶ月に渡り80時間を超える or 100時間を超えると、働きすぎによる関連性が高いとされます。
VORKERSの調査を見てもわかるように、21.4%もの人がそれに該当します。
人数で言えば14,734人にもなるのです。ある研究では、月60~80時間の残業になってくると脳疾患・心疾患のリスクも倍以上になることも分かっているとか。
働きすぎによって病気になってしまっては、会社に命をおとしに行っているようなものです。
それでは働きすぎるとどうなる?
日本人の私達は、働きすぎるとどうなってしまうのでしょう。実際に働きすぎた方々の声を拾ってみました。
実際に働きすぎの人たちの声
仕事終わったーーーー
やっと明日休みだ_:(´ཀ`」 ∠):
先週今週と仕事ばっかで疲れたから開放感やばい笑— ロム@COD WW2専用垢 (@CODWW265008621) 2018年8月16日
仕事疲れたからトイレの個室に避難してる
— ま さ し ⊿ (@Hazu_NogiUma) 2018年8月21日
このように、何も考えたくない・ボーっとしたいといった体や脳のSOSが始まってきます。
毎日疲労が溜まり続ければ、しっかり休息をとっても疲労が回復せず、もうろうとした状態で仕事をするようになってしまうのです。
働きすぎると病気になる
働きすぎると、体や心に様々な問題が生じてきます。
自分では考えていないうちにワーカホリックに陥る人も多くいます
みんな同じ仕事をしていて、自分だけ弱音を吐くわけにいかない…などと、その症状を無視して頑張りすぎてしまうと、思わぬ病気が発症してしまうかもしれません。
これは、働きすぎによって発症してしまう病気の重症度を示したものです。
ここでは、要注意・危険ゾーンを設けていますが、実際は自分が働きすぎていることに気がつかないまま、気がついたときにはすでに重症化しているケースもあります。
多くが自律神経の乱れ、ホルモンバランスの乱れなどの症状が悪化していくケースです。
体の抵抗力が極端に落ちていくため、ここにある症状の他にも様々な形で現れてきます。
これらの症状が出ている場合には、休暇をとって体も心も休めなければいけません。自分自身でしか気付けないものもあるでしょう。自分の健康に異常が出始めたら早めに医師の診断を受け、働き方について真剣に考えるべき時がきているのかもしれません。
なぜ働きすぎている?原因と改善方法は
日本人が働きすぎてしまう理由には、切っても切れない日本人の根本的な性(さが)も深く関係しているようです。
働きすぎの原因
働きすぎてきた歴史に改革がなかった
昭和30年台~40年台にかけて、日本が高度成長期を乗り越えてきた時代がありました。
日本人の感覚は、働きすぎるという感覚が鈍い人が多いといわれています。
長い歴史の上で、勤勉な日本人は惜しみなく自分の時間を仕事に捧げてきているのが当たり前になっているからです。
どんどん働きやすい環境が整ってきつつあるのに、日本人は満足できません。
少しでも効率的に働いて報酬を得てしまうと、罪悪感がつのる人や、もっと会社に貢献しなくちゃ!とさらに献身的に身を捧げてしまう人もいます。
社畜化される仕組みが完成している
日本人はそもそも残業を美徳としている節があります。
体調が悪くても、病気でも会社を休まないことを称賛されます。
皆勤手当などの福利厚生を高額設定している企業もありますが、これも「休まない=企業の宝」的な感覚があるからでしょう。
要するに、個人の本当に求めている幸せや、家族との関わり方を考える術も学んでいない人も多いのです。
離婚率が高くなる原因の一つにも、働きすぎは関係しているのかもしれません。
また、社畜化して働いていることを自慢してしまう人も日本には多いです。残業は収入増や成長企業に在籍する証とされ、「頑張ってるね~」という称賛を得られるものになってしまっているのです。
労働先進国から学べること
労働先進国ドイツでは、労働時間が短いことの他にも多くの働かないための法律や会社の仕組みが厳格化されています。
例えば、
・1日10時間以上の労働禁止
・休日、日曜の労働禁止
・雇用者と労働者の休暇に対する合意がある
・成果主義のため生産性の上がらない仕事を抱える人は少ない
・育児休暇中取得者のポストに代替者を置くことを禁止
などが挙げられます。
日本にもこういった環境があれば変われるのでしょうが、すぐには難しいかもしれません。仕事以外で自分の世界を広く持つことで、仕事とプライベートをハッキリ分けた働き方ができそうです。
働きすぎないための対策とは
少しでも自分が働きすぎるライン上にあるときは、何か対策を考えていかなければいけません。体と心を健康に保つために、今できることは何かを考えていきましょう。
マイペースを崩さない
まず、自分の仕事がしっかり効率的になっているのかを見直します。
ルーチン化できる業務はあるか、時間管理をしながら進められているか、集中力が切れたら休憩を十分挟んでいるか、この先の仕事をタスク化しているか、などをチェックしましょう。
自分の仕事が完了したら定時に帰ることをとがめられる会社では、周囲を巻き込んでいくことも大切です。自分の仕事の前後にも、仕事を流す人・受ける人がいます。お願いされる仕事もする仕事も期限を設定して取り組むと効率的です。
声をあげ続ける
社風がワーカホリック気味だと、定時で帰ることは悪になり普通として扱って貰えません。
我慢して従い続ければ、精神的にも苦痛になってきます。上司へ人員増を検討してもらえるようにお願いしたり、組合に相談したりすることも方法の一つです。
正当な対価を受け取る
完璧なブラック企業では、声をあげることで風当たりが強くなってしまったりすることもあります。
正当な対価が受け取れれば、不満もなく仕事にやりがいをもってこなせる人も多いです。会社に直談判して真っ当な報酬を交渉したり、今までの残業代請求に踏み切ったりする人も少なくありません。
労働基準局、司法書士、弁護士などの方々へ相談しながら進めることもおすすめです。
適性のある仕事かどうか見直す
なぜか今の仕事に苦痛を感じることが多い人は、もしかして自分に適正のない仕事を選んでしまっている場合もあります。
もう一度、適性診断を受けて自分に合った職業探しをしていくのもいいでしょう。
仕事が好きな人は、自分がやりたいことをしている方やコミュニケーション能力のある方、結果が出せる方などが多いです。
少しでも仕事を好きになる方法やきっかけが掴むことができれば、モチベーションアップにも繋がります。もちろん、転職という手段も考えておいて損はありません。
まとめ
日本人の働きすぎを改革するには、たくさんの課題があります。
ただ何のアクションも起こさずに毎日を過ごすのではなく、必要なことかどうか、今日すべきことなのか、などを意識して働いてみましょう。
生産性の高い仕事が可能になり、働きすぎによる健康状態の悪化改善もみられるようになるのではないでしょうか。