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転職で気になるのが待遇面の変化、とくに年収にアップダウンではないでしょうか。
ここでは、転職後に年収が減った人と増えた人はどちらが多いのかご紹介します。
年収アップを狙う人のために、転職で収入増を成功させるためのポイントもまとめています。
転職して年収アップを狙う
転職して年収アップを成功させるためにも、まずは現状を把握しましょう。
某企業の調査によると、「転職して年収は変化したか否か」に対する答えは、次の3パターンに分かれました。
・年収がアップした・・・3割
・年収がダウンした・・・3割
・転職前とほぼ変わらない・・・3割
転職を経験した6,000名にアンケートをとったところ、年収がアップしたと答えたのは全体の3割で、逆にダウンしてしまったと答えた人も3割程度でした。
残った3割ほどは転職後と前でそれほど年収に変化はなかったそうです。
もちろん、こまかな数字は異なりますが、年収のアップダウンについては3パターンとも大差のない結果でした。
つまり、転職すれば必ず年収が上がるとも、下がるとも言い切れないということです。
この調査結果から、転職後に年収が上がる可能性は十分あると言えます。
もし、転職すると年収がダウンするから今の会社で我慢しようと考えているのなら、もう一度本当に年収アップの可能性はないのか自問してみてください。
たとえば、実際に年収アップした業種や職種とあなたが転職を希望する会社は、同じ業種や職種ではないでしょうか。
未経験者の場合は難しいところですが、ある程度の経験を積んでおり、知識や技術を持っているのであれば、業種や職種によっては年収アップを期待できます。
転職後に年収がアップした人を業種別で見てみると、専門商社のように専門的な知識が求められるものばかりでした。ランキング上位5業種は、以下のとおりです。
・専門商社・・・平均62.9万円アップ
・人材サービス/アウトソーシング/コールセンター・・・平均57.2万円アップ
・金融・・・平均58.3万円アップ
・建設/プラント/不動産・・・平均59.8万円アップ
・総合商社・・・平均55.4万円アップ
専門商社の中には成長著しい医療機器のように、もとから平均年収が600~800万円と高い会社も多く含まれます。
その分専門的な知識が求められる厳しい世界ですが、すでにその条件をクリアしている経験者の中途採用は、新卒者を一から育てるよりも低リスク低コスト。
これまで培ってきたものが多ければ多いほど給料に反映されやすいようです。
平均金額も、全体的に55万円以上の年収アップとなりました。その中でもずば抜けて高い62.9万円アップが平均と出た専門商社は、やはり強い業界と言えます。
職種でもチェック!転職で年収アップした人が多いのは?
業種の次は、職業でも転職後の年収アップが多い仕事をチェック。
職種別で見ると、業種別ランキングで専門商社の強さの一角を担う医療系よりも、さらに高い年収アップとなった職種がありました。
職種別で見た平均年収アップ金額とランキングは、次のとおりになりました。
・金融系専門職種・・・平均92.6万円アップ
・医療系専門職種(医療/介護/福祉)・・・平均67.6万円アップ
・技術系職種(建築/土木/プラント/設備)・・・平均65.2万円アップ
・営業職・・・平均59.5万円アップ
・技術系職種(素材/化学/食品/その他)・・・平均58.9万円アップ
職種でも強さを見せるのは、やはり専門性が求められるものばかり。とくに群を抜いたのが、金融系専門職種でした。
この金融系専門職種には、銀行や信託、保険会社との業務の他、会社同士の吸収合併のコンサルティング業務などを専門とする職種も含まれています。
また、近年ではオンライン証券やインターネットバンクなどの商品開発、システムの開発などEC関連サービスを専門とする仕事も金融系専門職種に加わりました。
・ランキング上で少し異彩を放つのが、営業職。
業界によってはかなりの専門的な知識が求められることもある営業職は、それ以上に汎用性のある営業スキルを見られます。
実際、営業職で転職後の年収アップにつなげられた人の中には、異業種同士の転職でありながら成功したケースも珍しくありません。
専門知識が求められる場合は、商談の場に技術者を同行させるなど解決策がいくらでもあります。
営業職には専門知識よりも、まず顧客を得る力、話を聞いてもらえる人間性、商談に持ち込める営業力が求められています。
これらはどの業界でも通用する汎用性の高いスキルでありながら、同時に重視されるものでもあり、営業職で成功するために必須の要素です。
今までの経験でしっかりとそれらのスキルを身につけた人だけが、このランキングの年収アップに成功した営業職に分類されます。
年収アップのための転職のコツ
年収アップを実現するには、傾向だけではなく転職のコツを知っておくことも重要です。
年収アップの上位ランキングを見てみると、業種でも職種でも専門性の高いもの、あるいは汎用性の高いスキルが重要であることが分かります。
しかし、専門性の高い知識やスキルを持っているのに転職しても年収が大して上がらなかったという人もいます。
彼らと年収アップに成功した転職者の違いは、転職のコツを知っていた、あるいは実践していたか、そうでないかです。
大手企業ほど実力による年収アップが見込めない可能性
大手企業はお金を持っているから転職に成功すれば必ず年収アップにつながるはずと思っているかもしれませんが、それは間違いです。
むしろ、大手企業ほどスキルや知識といった実力による年収アップが見込めない可能性が高いのです。
大手企業ほどはまりやすいのが、給与規定という落とし穴の存在。
年収を決定する際に用いられるのが、給与規定という物差しです。
たとえ面接で即戦力だと判断されようとかなりの期待をされようと、給与規定の前では無意味。
配属先の同じ年代の社員給与を参考に給与規定と照らし合わせて計算される可能性があり、必ずしも年収アップにつながるとはいえません。
むしろ中小企業やベンチャー企業のほうが入社直後の年収アップを狙える可能性があります。
期待値がそのまま年収に反映されることもあれば、役職者のポストが空いているケースも多く、結果的に役職が与えられることによる年収アップも起こり得るのです。
また、すぐに年収アップにつながらなくとも、人数が少ないことで昇進しやすく、数年後に年収アップにつながることがあるのも小規模な企業の特徴です。
ひとりの人材が与える影響が大きくなりやすい中小企業などのほうが年収アップにつながりやすく、給与規定のしっかりしている大企業ほど上がりにくい可能性も考えておきましょう。
経営者の金銭感覚でアップするか絞られるかが決まる
給与規定や給与制度を最終的に決めるのは経営者です。
その経営者の金銭感覚次第では、転職後に年収がアップすることもダウンすることもあります。
自分の経験を物差しにしている・・・アップもダウンも可能性あり
会社の現金の総額・・・多くて余裕があるほどアップにつながる
経営方針と採用数のバランス・・・大量採用直後はダウン率が上がる
大まかに3パターンに分けると、このようになります。
社長自身が新入社員だった頃の自分自身の収入を基準に給与を考えている場合、アップする可能性もダウンする可能性もあります。
こればかりは転職してみるか社長と会う機会でもなければ探ることすら難しいでしょう。
その会社に既に入社している人の服装などから推測するしかありません。
また、仮に実力が認められてもアップしてもらえない可能性もあります。
会社にある現金が少なければどんなに評価されても年収が多くなることはないでしょう。
逆に、会社に多く現金がある場合、評価されれば評価されるだけ年収アップも期待できます。
この考えで言えば、起業したばかりのベンチャー企業は現金も少なく、期待値の高さに比べて年収アップの可能性は低いと考えられます。
もうひとつ考えておきたいのが、転職そのもののタイミングです。
たとえば大量採用したばかりであれば、人材をさらに多く増やしたいと思わない経営者は、多めにお金を出してまで人を囲い込もうと思わないでしょう。
逆に人手が足りないタイミング、経営方針の転換で新しい人材を求めているのであれば、年収アップの交渉がしやすくなります。
転職ではスキルの他に会社規模やタイミングも重要
転職で年収アップを狙うなら、スキルやキャリアだけで勝負するのはおすすめできません。
たしかに重要ではありますが、会社規模やタイミングが合わなければ、かえって収入減につながってしまうリスクもあります。
スキルとキャリアを正当に評価してくれる給与制度があり、経営方針的にも会社の財布のひもがキツくなっていないタイミングを見極めなければなりません。
採用に積極的になっているか、新規事業立ち上げなど専門性の高い人材を求めていないか、外資系出身の経営者など高額報酬の環境を体験している(高額年収に理解がある)経営者か。
これらの情報を少しでも多く手に入れ、ベストなタイミングで転職することが、より確実で早い年収アップへのコツです。
希望年収の交渉方法
面接や採用内定後の条件確認の際に、採用担当者から希望年収を聞かれることもあります。どのような答えをするべきか、採用担当者の意図を読み取って交渉の仕方を考えてみましょう。
採用担当者が転職者に希望年収を聞く理由とは?
そもそも、採用担当者が年収の希望を聞く理由は何なのか疑問に思う方も多いでしょう。
理由としてよくあるのは、「採用条件や予算にマッチしているか否か」を見るためです。
たとえば、今回の採用に年収500万円くらいの予算を想定している会社の募集に、希望年収300万円のAさん、400万円のBさん、800万円のCさんが応募してきたとします。
3人とも同じスキル、前職では同じ勤続年数、そして同じくらいの魅力を持っていた場合、誰が最も採用されやすいでしょうか。
会社側からすれば支出を減らしたいだろうから、300万円希望のAさんが採用されやすいと思ったかもしれません。
しかし時際は、400万円希望のBさんが最も採用の確率が高いと言えます。
会社によってはAさんのような人を希望通りの300万円で雇おうとする場合もありますが、それではAさんが希望年収に見合った低いスキルの人かもしれないリスクも抱えてしまいます。
多くの会社では、低すぎる希望年収は自信のなさの表れ、つまり実際のスキルや知識の低さを表しているのではと考えられ、避けられる要因です。
会社側は年収500万円に見合った働きをしてくれる人材を求めているのですから、500万円に近い年収400万円を希望したBさんが採用される可能性が高いです。
年収800万円を希望したCさんの場合、実際に働いてもらうと確かに800万円に見合う仕事をしてくれる人であっても、会社の予算に見合わないため採用が見送られます。
高すぎても駄目、少なすぎても駄目と難しい希望年収ですが、年齢ごとの平均年収を参考に会社規模を考慮して答えると無難です。
採用担当者は金額よりも「会社の予算に見合っているか」「自身を客観的に見られる人物か」を見て、採用条件にマッチしているか否かを判断しています。
自己評価の低すぎる金額はもちろん、自信過剰な高すぎる金額を提示しないよう、注意してください。
その年収は適切?相手から目安の金額を提示された場合
希望年収を聞かるときは、「いくらぐらいを希望しているか」聞かれる場合と、「これくらいの金額でうちに来てくれないか」と具体的な金額を提示される場合があります。
相手に金額を提示されると、人によっては転職前より高くなって嬉しいと思うこともあれば、思ったより安いと思うこともあるでしょう。
いずれの場合も大切なのは、本当にその金額は妥当なのかどうかを考えることです。
もし自分にしてみれば前職より高くなって抗待遇だと思えるような金額でも、世間一般的に見れば同程度の仕事に就いている人の中で低い部類に入るかもしれません。
ここで安易に了承してしまえば、入社した後に実はかなり低い給料金額だったと知っても、既に了承した言質あるいは書面が残っているでしょう。
そうなると、入社後に年収アップを交渉するのは難しくなります。
あらかじめ年齢ごとの平均年収と、可能であれば業界別の平均年収も調べておきましょう。職種別の平均年収も知ることができれば、参考にして損はありません。
あくまで平均金額ですが、面接時にありえない年収金額を提示されたときに有効な判断材料となるのは、やはり平均的な数字です。
低い年収を提示されたときに採用辞退をする手もありますが、どうしてもこの会社で働きたいと思うのであれば、思い切って年収アップを交渉するのもおすすめです。
その場合は、一度やんわりと提示された金額に対して断りを入れましょう。
理由をのべ、「こういった理由があるため、ご提示いただいた金額では厳しいのが正直なところです」と金額交渉に持ち込んでみてはいかがでしょうか。
転職で金額交渉に失敗しない希望年収の伝え方とは
希望年収を聞かれた場合も、相手から提示された金額より多い額を交渉する場合も、希望の伝え方が重要です。
仮に平均的で妥当な金額だとしても、交渉の仕方次第で断られてしまいます。
希望年収を伝える交渉で大切なのは、以下の情報と手順です。
転職希望先と同じ業種や職種の平均年収を調査する
会社の給与体系(福利厚生やボーナスの規定)を調査する
会社が求めているスキルや知識をリサーチしておく
自分の持っているものでアピールになるものを整理する
交渉の場で希望年収に見合った価値があることを伝える
文字にすると非常に安易なものに見えますが、意外とこの5ステップができていない人が多いのです。
希望年収の交渉に失敗した人の中には、面接で萎縮してしまい不満を感じた金額だけれど了承してしまった人、ボーナス体系を知らず転職したら結果的に年収が減った人もいます。
きちんと希望業種や職種の平均金額を調査し、会社の給与体系についても求人情報で確認しておきましょう。
さらに、会社がどのような人材を求めているかも調査します。
スキルや知識はもちろん、経営方針や会社の雰囲気が自分のカラーとマッチしているかも重要です。
たとえば経営内容に全く関係のない知識を披露しても、何の得点にもならないどころか「うちにはこの人に任せる仕事がなさそうだ」と判断されかねません。
会社が求めているであろうスキルや知識をリサーチし、自分が持っているものをアピールしつつさらに会社が求めているものを身につける覚悟があることも伝えましょう。
そのためには、自分自身が今できることをしっかり自覚している必要があります。
自分は何ができてどこを前職で評価されていたのか、ひとつひとつ引き出して整理しておきます。
これだけのことができて、今後はこういったスキルや技術を身につけて会社に貢献するつもりなので、自分は採用する価値がある人間です。
そう思わせることができるよう、基本的なこの5ステップを必ず意識した交渉内容にしましょう。
いきなり金額を上げてほしいと伝えるのではなく、まずは会社から見た自分の価値を知ってもらい、期待を得ることから始めることが希望年収の交渉で失敗しないコツです。
まとめ
転職者全体から見れば、転職後に年収アップしたと答える人は3割ほど、変わらなかったと答えた人も3割程度存在します。
つまり、全体の6割は転職後も年収が減ることなく働き続けているということです。
スキルだけではなく会社規模や経営者の考えも見る
希望年収の交渉では金額より先に自分の価値を伝える
転職で失敗しないコツを非常に大まかに言うとこの2点です。
スキルなどに固執せず、転職に最適なタイミングや環境も考え、希望年収に近い金額で転職できるよう交渉にも挑戦してみてください。